〈10代 私の声聞いて〉待機児童ゼロ やってや

写真・図版

高校の定時制3年生小林優華さん。
長男空聖君の名前には
「大きく、きよらかに」という思いを込めた

大阪府立春日丘高校の定時制3年生、小林優華(ゆうか)さん(18)は、1歳5カ月の長男、空聖(くうせい)君の母親でもある。茨木市の2Kの団地に、夫(19)と3人で暮らす。

 卒業まで1年余り。夕方から夜9時すぎまで、平日は毎日授業がある。介護施設で働く夫の帰宅は、午後6〜9時。それまで空聖君をみてもらうため、実家の母に預けに行く。

 ただ、母も仕事を持っている。その上、同居する祖母が認知症になり、入浴の介助や身の回りの世話も母がする。やんちゃ盛りの空聖君を、このまま見てもらうのはしんどい状況だ。

 空聖君を認可保育所に預けられたらと、優華さんは今夏、市役所に足を運んだが、空きはなかった。10月1日現在、市の待機児童は276人で狭き門だ。「保育所に入れれば、仕事も探せる。入れへんと、いつまでたっても仕事を見つけられへん」と焦る。

 仕事がしたいのは、生活のため。そして空聖君のためでもある。あるときテレビのニュースで、「子ども1人を育てるのに、1千万円単位でお金がかかる」と言っていた。「そんなにかかるんや」と将来が不安になった。自分にもネイリストになりたいという夢がある。いつか専門学校に行く学費も蓄えたい。

 いまは夫の給料から、月10万〜15万円でやりくりしている。暮らすのがやっとで、貯金はできない。10月からは夫が休みの日に、ラーメン店でアルバイトを始めた。時給800円。少しでも貯(た)めたい。

 選挙戦が始まり、ニュースで各党の訴えを聞く機会が増えた。難しいことはわからないけれど、例えば「待機児童ゼロを目指す」と言われると、「言ったんやったら、やってや」と思う。

 「親も大変で、もう頼れへん。今度こそ、近くの認可保育所に入れたい。保育所をもっと増やしてほしい」

 いまの制度では、常勤で働く人の方が、求職中より認可保育所に入りやすい。厳しい状況は変わらないが、今月、再度申し込みをする。