高校の定時制3年生小林優華さん。 |
卒業まで1年余り。夕方から夜9時すぎまで、平日は毎日授業がある。介護施設で働く夫の帰宅は、午後6〜9時。それまで空聖君をみてもらうため、実家の母に預けに行く。
ただ、母も仕事を持っている。その上、同居する祖母が認知症になり、入浴の介助や身の回りの世話も母がする。やんちゃ盛りの空聖君を、このまま見てもらうのはしんどい状況だ。
空聖君を認可保育所に預けられたらと、優華さんは今夏、市役所に足を運んだが、空きはなかった。10月1日現在、市の待機児童は276人で狭き門だ。「保育所に入れれば、仕事も探せる。入れへんと、いつまでたっても仕事を見つけられへん」と焦る。
仕事がしたいのは、生活のため。そして空聖君のためでもある。あるときテレビのニュースで、「子ども1人を育てるのに、1千万円単位でお金がかかる」と言っていた。「そんなにかかるんや」と将来が不安になった。自分にもネイリストになりたいという夢がある。いつか専門学校に行く学費も蓄えたい。
いまは夫の給料から、月10万〜15万円でやりくりしている。暮らすのがやっとで、貯金はできない。10月からは夫が休みの日に、ラーメン店でアルバイトを始めた。時給800円。少しでも貯(た)めたい。
選挙戦が始まり、ニュースで各党の訴えを聞く機会が増えた。難しいことはわからないけれど、例えば「待機児童ゼロを目指す」と言われると、「言ったんやったら、やってや」と思う。
「親も大変で、もう頼れへん。今度こそ、近くの認可保育所に入れたい。保育所をもっと増やしてほしい」
いまの制度では、常勤で働く人の方が、求職中より認可保育所に入りやすい。厳しい状況は変わらないが、今月、再度申し込みをする。