データシート |
■甲大門西橋梁の実測諸元は下記のとおり。
正径間 W= 1.84m(3ヶ所平均)/おそらく設計は、6呎(1.83m)
斜径間 a= 2.13m(南側)
巾員 L =15.46m(左右平均)
斜架角 θ=60度(坑門角αを採用)
起拱角 β=22度(6ヶ所平均)
後の複線化の影響で殆どが片側端面しか確認出来ない京都以西の「ねじりまんぽ」と違い、
両端面が確認出来、かつ端面が鋸歯であるのが特徴です。
また、揖斐川を挟んで東にある甲中吹橋梁の側壁が
整層の石積
で有るのに対し、甲大門西橋梁の側壁は
煉瓦のイギリス積
となっています。
また、側壁端面角部のみが整層の石積の構造となっています。
関西本線の第248橋梁にも見られる構造で、
脆弱な角部を保護する目的と思われます。
図−β実測値と理論値の比較(クリックで拡大図)
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■文献2)「鉄道と煉瓦」の斜架角は「左70度」
となっていますが、同時に示されている
W=1.83m、a=2.11m
から理論値を求めると
θ=60度、β=20度
となります。
以上、実測と文献から考えて、「左70度」と有るのは「左60度」の誤りと思われます。
念のため、Google Earth でも角度を測りましたが、
ちょうど60度でした。
■坑門角α=斜架角θとした場合、
斜架角 θ=60度の起拱角βの理論値は20度です。
実測値は、
β=22度
ですので、概ね理論どおりの形状ということになります。
■以上の調査データをまとめ、
データシートとしてPDFにしました。
⇒⇒No06 甲大門西橋梁 調査データ(PDF)
(新しいウインドウが開きます)
続いて揖斐川を渡り、瑞穂市の甲中吹橋梁に向かいます。
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側壁のクラック/西側中央付近 |
東南部側壁19段確認 |
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■なお上記「調査ーデータ」を作成するにあたっては、下記の考えに従いました。
●ねじりまんぽの番号
/「鉄道と煉瓦」表4-1”一覧表”(P117)における番号を採用。
●方向
/東西南北の表示は主たる方向とした。
●経度緯度
/ 国土地理院地図-航空写真閲覧サービス より求めた。
●煉瓦形状
/手作り煉瓦であるので寸法にバラツキがある。故に代表値。
●積み方/イギリス積み、オランダ積みの区分
/コーナーの仕上げ形状により、イギリス積みとオランダ積みが区分されるので、
/文献「鉄道と煉瓦」にならい、一般的に”イギリス積み”と表記。
/ただし、コーナー部が”オランダ積み”と確認できたもののみ”オランダ積み”と表記。
●θβの左右区分
/「鉄道と煉瓦」にならい、側壁に向かってアーチの煉瓦が右上がりの場合「右」
、左上がりの場合「左」 と表記。
●中心キロ程
/現行距離程による。(開業時とは異なる)
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甲大門西橋梁/位置図
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