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KITAHATA URBAN DESIGN CORPORATION

甲大門西橋梁

平成28年7月2日撮影


揖斐川を挟むねじりまんぽ

■以前から行きたかった岐阜県大垣市付近の”ねじりまんぽ”は、

揖斐川を挟み二ヶ所にあります。

長浜に所用があり、少し遅くなりましたが、

午後3時頃に長浜を出発。

伊吹山の麓を国道365号に沿って回り、

伊吹山ドライブウエイの入り口の交差点から

国道21号・関ヶ原バイパスに入ります。

関ヶ原では、まだ採寸していない、

  小田原川橋梁穿屋川橋梁

も寄りたかったのですが、

時間が無いので今回は目の前を通り過ぎます。


■まず近い方、大垣市の甲大門西橋梁へ。

現着は夕方4時少し前。

今回の採寸はBOSCH(ボッシュ)のレーザー距離計

角度はスマホのアプリを使い、

両端部と中央で行うことにします。


甲大門西橋梁

起拱角の6ヶ所平均値は22° 銘板/407km062m76
北面遠景
北面近景/角部に石積
南面遠景
南面近景/角部に石積


特徴は鋸歯

■甲大門西橋梁は、

国道21号・岐阜バイパス、和合新町交差点で左折、

JRに突き当たりますので、左に曲がってすぐの所にあります。


滋賀県に多いアーチ末端面の4巻の鋸歯が特徴です。

側壁はイギリス積み構造。

車が通るのは無理なため、傷も少なく綺麗な状態です。

北東角の鋸歯下部 北西角の鋸歯下部
北東角の鋸歯下部
北西角の鋸歯上部
北東角の鋸歯
南側から北側を望む
中央付近から北側を望む
南側入り口を北側から望む
中央付近から南側を望む
北側から南側を望む
南西側の鋸歯 南東側の鋸歯

データシート

■甲大門西橋梁の実測諸元は下記のとおり。

    正径間 W= 1.84m(3ヶ所平均)/おそらく設計は、6呎(1.83m)

    斜径間 a= 2.13m(南側)

    巾員   L =15.46m(左右平均)

    斜架角 θ=60度(坑門角αを採用)

    起拱角 β=22度(6ヶ所平均)

後の複線化の影響で殆どが片側端面しか確認出来ない京都以西の「ねじりまんぽ」と違い、

両端面が確認出来、かつ端面が鋸歯であるのが特徴です。

また、揖斐川を挟んで東にある甲中吹橋梁の側壁が

   整層の石積

で有るのに対し、甲大門西橋梁の側壁は

   煉瓦のイギリス積

となっています。

また、側壁端面角部のみが整層の石積の構造となっています。

関西本線の第248橋梁にも見られる構造で、

脆弱な角部を保護する目的と思われます。


図−β実測値と理論値の比較(クリックで拡大図)

■文献2)「鉄道と煉瓦」の斜架角は「左70度」

となっていますが、同時に示されている

   W=1.83m、a=2.11m

から理論値を求めると

   θ=60度、β=20度

となります。

以上、実測と文献から考えて、「左70度」と有るのは「左60度」の誤りと思われます。

念のため、Google Earth でも角度を測りましたが、

ちょうど60度でした。


■坑門角α=斜架角θとした場合、

斜架角 θ=60度の起拱角βの理論値は20度です。

実測値は、

   β=22度

ですので、概ね理論どおりの形状ということになります。


■以上の調査データをまとめ、

データシートとしてPDFにしました。

⇒⇒No06 甲大門西橋梁 調査データ(PDF)
    (新しいウインドウが開きます)
    

続いて揖斐川を渡り、瑞穂市の甲中吹橋梁に向かいます。


側壁のクラック/西側中央付近 東南部側壁19段確認


■なお上記「調査ーデータ」を作成するにあたっては、下記の考えに従いました。

●ねじりまんぽの番号
 /「鉄道と煉瓦」表4-1”一覧表”(P117)における番号を採用。

●方向
 /東西南北の表示は主たる方向とした。

●経度緯度
 / 国土地理院地図-航空写真閲覧サービス より求めた。

●煉瓦形状
 /手作り煉瓦であるので寸法にバラツキがある。故に代表値。

●積み方/イギリス積み、オランダ積みの区分
 /コーナーの仕上げ形状により、イギリス積みとオランダ積みが区分されるので、
 /文献「鉄道と煉瓦」にならい、一般的に”イギリス積み”と表記。
 /ただし、コーナー部が”オランダ積み”と確認できたもののみ”オランダ積み”と表記。

●θβの左右区分
 /「鉄道と煉瓦」にならい、側壁に向かってアーチの煉瓦が右上がりの場合「右」 、左上がりの場合「左」 と表記。

●中心キロ程
 /現行距離程による。(開業時とは異なる)


甲大門西橋梁/位置図





INFORMATION

1.「ねじりまんぽ」とは
2.「ねじりまんぽ」を見に行こう
3.「ねじりまんぽ」の構造
4.「ねじりまんぽ」建設再現
5.番外偏
6.マスコミで紹介されました
7.「ねじりまんぽ」一覧表
8.参考文献/参考外部リンク


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