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KITAHATA URBAN DESIGN CORPORATION

烏谷川橋梁

平成26年10月12日撮影


関西本線の”ねじりまんぽ”-T

■10月12日、高校以来の友達・たけちゃんと関西本線の「ねじりまんぽ探検」。

面白そうな所に「めぼし」を付けながら木津川市から”木津川”沿いに国道163を東へ。

伊賀市からは国道25号(大和街道)を服部川、柘植川沿いにさらに遡り、加太(かぶと)まで行きます。

加太駅の東にある「市場川橋梁」を調査してから、

「めぼし」を付けたポイントをチェックしながら、来た道を戻ります。


烏谷川橋梁

■最初に紹介するのは「烏谷川橋梁」。

正径間=4.27m、斜径間=4.92m、起拱角≒30°

正径間は関西最大の大きさです。

また、関西線では最も古い「ねじりまんぽ」です。


■坑門角α=斜架角θとした場合のβ(起拱角)の理論値は20°となります。

実測値は30°で10°も大きく、相互関係が全く成り立たちません。

文献2)「鉄道と煉瓦」に記されている

    斜架角θ=70°

から求めたβ(起拱角)の理論値は13°となってしまいます。

正しい斜架角θを求めたいのですが、

航空写真や地図では現地の河川形状と違いが大きいので、求めることが出来ません。

スマホのGPSで出入り口位置情報取って線路との交角はかれないだろうかと思案中です。


■石畳の護床工がなされ、石積4.5段に帯石、パラペット、笠石を備えいます。

山崎煉瓦アーチ群の建設から14年後、意匠にも配慮がうかがえます。


南側坑門/浸食か?

立上り角β(起拱角)≒左30°(実測)

フランス積のパラペット
石積側壁/フランス積 南側を望む

データシート


図−β実測値と理論値の比較(クリックで拡大図)

■結論

1. 文献2)ではθ(斜架角)が70°と記されていますが、

  β(起拱角)の実測値30°や周辺の河川の状況から、

  θは45〜50°前後ではないかと推定されます。

2.θ(斜架角)を48°と考えると、

  θとβ(起拱角)との関係は、理論値にほぼ合致します。

  (図4 理論値青丸、実測値赤丸)

3.明治初期に建設された「山崎煉瓦アーチ群」と比べると

  帯石、パラペット、笠石を備えるなど、

  意匠にも配慮がうかがえます。


以上の調査データをまとめ、データシートとしてPDFにしました。

  ⇒⇒No8 烏谷川橋梁 調査データ(PDF)
    

■なお上記「調査ーデータ」を作成するにあたっては、下記の考えに従いました。

●ねじりまんぽの番号
 /「鉄道と煉瓦」表4-1”一覧表”(P117)における番号を採用。

●方向
 /東西南北の表示は主たる方向とした。

●経度緯度
 / Google Earth より求めた。

●煉瓦形状
 /手作り煉瓦であるので寸法にバラツキがある。故に代表値。

●積み方/イギリス積み、オランダ積みの区分
 /コーナーの仕上げ形状により、イギリス積みとオランダ積みが区分されるので、
 /文献「鉄道と煉瓦」にならい、一般的に”イギリス積み”と表記。
 /ただし、コーナー部が”オランダ積み”と確認できたもののみ”オランダ積み”と表記。

●θβの左右区分
 /「鉄道と煉瓦」にならい、側壁に向かってアーチの煉瓦が右上がりの場合「右」 、左上がりの場合「左」 と表記。

●中心キロ程
 /現行距離程による。(開業時とは異なる)


位置図



■次の「ねじりまんぽ」は、

    第248号橋梁

に向かいます。







INFORMATION

1.「ねじりまんぽ」とは
2.「ねじりまんぽ」を見に行こう
3.「ねじりまんぽ」の構造
4.「ねじりまんぽ」建設再現
5.番外偏
6.マスコミで紹介されました
7.「ねじりまんぽ」一覧表
8.参考文献/参考外部リンク


参考文献


1) 斜架拱(しゃかきょう)
/伊藤鏗太郎(イトウ コウタロウ)編訳/1899年(明治32年)

 我が国で初めて斜架拱”ねじりまんぽ”を単独で取り上げた書物と思われます。
 国立国会図書館・蔵書検索システム(外部リンク)で検索すると、原著のPDFデータを閲覧ダウンロードすることができます。


2) 鉄道と煉瓦−その歴史とデザイン

/著者;小野田 滋(おのだしげる)/鹿島出版会/2004発行

 煉瓦の歴史や組積方法鉄道構造物としてのデザイン等について記されています。
 全国45都道府県を調査した”足で書かれた論文”で、現在も購入可能です。


3) 阪神間 ・京阪間鉄道における煉瓦 ・石積み構造物とその特徴

/著者;小野田 滋/土木史研究 第20号/2000.5

 京阪神間の煉瓦 ・石積み構造物の特徴を捉え、現地調査結果をまとめています。(PDF/外部リンク

4) 組積造による斜めアーチ構造物の分布とその技法に関する研究
/著者;小野田 滋、河村清治、須貝清行、神野嘉希/土木史研究 第16号/1996.6

 「ねじりまんぽ」の分布や技法についてまとめた論文です。(PDF/外部リンク

5) 関西地方の鉄道における「斜架拱」の分布とその技法に関する研究」

/JR西日本 河村清治、小野田滋、木村哲夫、菊池保孝/土木史研究 第10号/1990.6

 JR西日本管内の「ねじりまんぽ」を本格的に調査し、まとめています。(PDF/外部リンク



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