■最初に紹介するのは「烏谷川橋梁」。
正径間=4.27m、斜径間=4.92m、起拱角≒30°
正径間は関西最大の大きさです。
また、関西線では最も古い「ねじりまんぽ」です。
■坑門角α=斜架角θとした場合のβ(起拱角)の理論値は20°となります。
実測値は30°で10°も大きく、相互関係が全く成り立たちません。
文献2)「鉄道と煉瓦」に記されている
斜架角θ=70°
から求めたβ(起拱角)の理論値は13°となってしまいます。
正しい斜架角θを求めたいのですが、
航空写真や地図では現地の河川形状と違いが大きいので、求めることが出来ません。
スマホのGPSで出入り口位置情報取って線路との交角はかれないだろうかと思案中です。
■石畳の護床工がなされ、石積4.5段に帯石、パラペット、笠石を備えいます。
山崎煉瓦アーチ群の建設から14年後、意匠にも配慮がうかがえます。
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南側坑門/浸食か?
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立上り角β(起拱角)≒左30°(実測)
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フランス積のパラペット |
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石積側壁/フランス積 |
南側を望む |
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データシート |
図−β実測値と理論値の比較(クリックで拡大図)
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■結論
1. 文献2)ではθ(斜架角)が70°と記されていますが、
β(起拱角)の実測値30°や周辺の河川の状況から、
θは45〜50°前後ではないかと推定されます。
2.θ(斜架角)を48°と考えると、
θとβ(起拱角)との関係は、理論値にほぼ合致します。
(図4 理論値●青丸、実測値●赤丸)
3.明治初期に建設された「山崎煉瓦アーチ群」と比べると
帯石、パラペット、笠石を備えるなど、
意匠にも配慮がうかがえます。
以上の調査データをまとめ、データシートとしてPDFにしました。
⇒⇒No8 烏谷川橋梁 調査データ(PDF)
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■なお上記「調査ーデータ」を作成するにあたっては、下記の考えに従いました。
●ねじりまんぽの番号
/「鉄道と煉瓦」表4-1”一覧表”(P117)における番号を採用。
●方向
/東西南北の表示は主たる方向とした。
●経度緯度
/ Google Earth より求めた。
●煉瓦形状
/手作り煉瓦であるので寸法にバラツキがある。故に代表値。
●積み方/イギリス積み、オランダ積みの区分
/コーナーの仕上げ形状により、イギリス積みとオランダ積みが区分されるので、
/文献「鉄道と煉瓦」にならい、一般的に”イギリス積み”と表記。
/ただし、コーナー部が”オランダ積み”と確認できたもののみ”オランダ積み”と表記。
●θβの左右区分
/「鉄道と煉瓦」にならい、側壁に向かってアーチの煉瓦が右上がりの場合「右」
、左上がりの場合「左」 と表記。
●中心キロ程
/現行距離程による。(開業時とは異なる)
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位置図
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■次の「ねじりまんぽ」は、
第248号橋梁
に向かいます。
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