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KITAHATA URBAN DESIGN CORPORATION

狼川(下り)トンネル

JR琵琶湖線/北側坑門
滋賀県草津市南笠東1丁目1丁目(北側)〜2丁目(南側)
南草津−瀬田/東海道本線(JR琵琶湖線)
平成26年2月23日撮影


「抗口のみねじり」のねじりまんぽ

■高校・大学の学友で”ねじりまんぽ”の火付け役”たけちゃん”のブログ

   Day by day

平成26年2月16日〜19日のブログを見て驚いた。

   こんなものがあったのか・・・

文献「鉄道と煉瓦」では「抗口のみねじり」と表現されているのですが、

目にするのは初めてでした。


 明治45年(1912年)に出版された「土木施工法」(鶴見・草間)では、

「混成施工法」と呼ばれたそうですが、

当時としても珍しい工法だったようです。(Day by dayより引用)

北側(南草津側)抗口

東側(向かって左)端面は鋸歯 東側(向かって左)
起拱角(起きょう角)=22°
要石

堤防と一体となり、中は埋まっています
壁柱や二本の装飾帯(帯石)もあります

西側(向かって右)
@東側(向かって左)側面/途中で屈折 A天上面/途中で屈折


■全国に確認されているだけで26箇所しか残っていない「ねじりまんぽ」。

その中でも抗口だけが”ねじれ”ているものは2箇所しかありません。

その一つがこの「狼川トンネル」。


昨年5月には、川の下を川が通る「川の立体交差」

    田川カルバート

を見学してきましたが、今回は川の下を鉄道が走ります。


■トンネルは当時天井川であった狼川の下に掘られました。

上下線二本ありましたが、1956年頃に廃止となりました。

上りトンネルは撤去され、下りも河川の河床掘削により中央部は撤去、

北側と南側の抗口付近のみが残っています。


■壁柱や二本の装飾帯(帯石)もあります。

抗口だけが”ねじれ”ているため、

途中からレンガの方向が折れる様に変わるのが最大の特徴で、

中央部が撤去された今でも、その名残を確認することが出来ます。

また、折れた部分は鋭角に折れるのでは無く、

バーチカル曲線で緩和されているという手間のかけようです。

煉瓦の積み方は、側壁(基礎)、壁柱、パラペットともにオランダ積みになっています。


■現存すれば最大級の延長(推定約40m)で

かつ構造的にも珍しいねじりまんぽです。


上流の国道からJRを望む

コンクリート護岸の反対側に
北側抗口が有ります
南側(瀬田側)抗口


壁柱、パラペットともにオランダ積み

堤体の一部となり、中は埋まっています 壁柱や二本の装飾帯(帯石)もあります

要石

西側(向かって左)
B西側(向かって左)/途中で屈折 東側(向かって右)/途中で屈折
C天上面/途中で屈折

国道1号線/狼川橋北詰信号

■線路脇の堤防に「撮り鉄」の青年がいたので

「ねじりまんぽ」の話を一節。

彼も興味を持った様子でした。

車に戻り、帰途についてから彼の動きを眼で追うと、

青年がカメラを手に”ねじりまんぼ”を撮りに行くのが見えました。

これで、愛好者が一人増えたかな??

Day by dayより引用

通常のねじりまんぽイメージ展開図

狼川トンネルのイメージ展開図
上記右の展開図に加筆して組み立てるとこのように・・・
側壁は写真@Bと、天井は写真ACとイメージが合います。


完成

以上、資料提供/たけちゃん(Day by dayより引用)


位置図





INFORMATION


1.「ねじりまんぽ」とは
2.「ねじりまんぽ」を見に行こう
3.「ねじりまんぽ」の構造
4.「ねじりまんぽ」建設再現
5.番外偏
6.マスコミで紹介されました
7.「ねじりまんぽ」一覧表
8.参考文献/参考外部リンク


参考文献


1) 斜架拱(しゃかきょう)
/伊藤鏗太郎(イトウ コウタロウ)編訳/1899年(明治32年)

 我が国で初めて斜架拱”ねじりまんぽ”を単独で取り上げた書物と思われます。
 国立国会図書館・蔵書検索システム(外部リンク)で検索すると、原著のPDFデータを閲覧ダウンロードすることができます。


2) 鉄道と煉瓦−その歴史とデザイン

/著者;小野田 滋(おのだしげる)/鹿島出版会/2004発行

 煉瓦の歴史や組積方法鉄道構造物としてのデザイン等について記されています。
 全国45都道府県を調査した”足で書かれた論文”で、現在も購入可能です。


3) 阪神間 ・京阪間鉄道における煉瓦 ・石積み構造物とその特徴

/著者;小野田 滋/土木史研究 第20号/2000.5

 京阪神間の煉瓦 ・石積み構造物の特徴を捉え、現地調査結果をまとめています。(PDF/外部リンク

4) 組積造による斜めアーチ構造物の分布とその技法に関する研究
/著者;小野田 滋、河村清治、須貝清行、神野嘉希/土木史研究 第16号/1996.6

 「ねじりまんぽ」の分布や技法についてまとめた論文です。(PDF/外部リンク

5) 関西地方の鉄道における「斜架拱」の分布とその技法に関する研究」

/JR西日本 河村清治、小野田滋、木村哲夫、菊池保孝/土木史研究 第10号/1990.6

 JR西日本管内の「ねじりまんぽ」を本格的に調査し、まとめています。(PDF/外部リンク



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