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KITAHATA URBAN DESIGN CORPORATION

穿屋川橋梁

422K 442M 55/JR東海道線

穿屋川橋梁(右岸北側構造変化点)/岐阜県不破郡関ヶ原町野上
東海道本線
平成24年8月4日撮影

▼前(No30-旧折尾高架橋)/ねじりまんぽ・本文/(No32-姉橋)次▲

「鉄道と煉瓦」に記載の無いねじりまんぽ

■「小田原川橋梁」の西、400m程のところに

「鉄道と煉瓦」に記載の無い「穿屋川橋梁」があります。

両端部、つまり出口と入口が約20m程普通の長手積で、

中に進むと、煉瓦三層の厚さ分広く、高くなり

”ねじりまんぽ”となっています。

このような複合構造を見たのは初めてです。

中央部、列車荷重の掛かる部分は荷重を直角に受ける「ねじりまんぽ」とし、

法面の部分は土荷重だけなので通常の長手積みにしたものと思われます。

水路専用で流水があるので長靴が必要ですが、ヘッドランプは不用でした。


■斜架角は約50度、”ねじりまんぽ”の中でも鋭角の部類に入り、

東海道本線では最も鋭角な”ねじりまんぽ”といえます。

水路専用で人や車が通らないのと、

漏水がほとんど無いので、保存状態は良好。

明治の煉瓦とは思えないくらい綺麗です。

また、JR京都線のようにコンクリートBOXが追加されていないので、

ほぼ建設時(1884年)のままの状態で両端面が観察できます。


地図上でも鉄道と斜めに交差しており”ねじりまんぽ”が有りそうなことが解る上、

ちょと中に入れば解りそうなものを、「鉄道と煉瓦」では何故見逃されていたのだろうと思います。


北側(下流出口)外面 北側出口/出入り口部は長手積み
中央より南側流入口を望む 南側流入口
左岸北側構造変化点 左 岸
側壁/非常に綺麗 水路底/コンクリートの砕石が露頭

南側流入口を望む/中央部が広くなり「ねじりまんぽ」になっている







INFORMATION

1.「ねじりまんぽ」とは
2.「ねじりまんぽ」を見に行こう
3.「ねじりまんぽ」の構造
4.「ねじりまんぽ」建設再現
5.番外偏
6.マスコミで紹介されました
7.「ねじりまんぽ」一覧表
8.参考文献/参考外部リンク

参考文献

1) 斜架拱(しゃかきょう)
/伊藤鏗太郎(イトウ コウタロウ)編訳/1899年(明治32年)

 我が国で初めて斜架拱”ねじりまんぽ”を単独で取り上げた書物と思われます。
 国立国会図書館・蔵書検索システム(外部リンク)で検索すると、原著のPDFデータを閲覧ダウンロードすることができます。


2) 鉄道と煉瓦−その歴史とデザイン

/著者;小野田 滋(おのだしげる)/鹿島出版会/2004発行

 煉瓦の歴史や組積方法鉄道構造物としてのデザイン等について記されています。
 全国45都道府県を調査した”足で書かれた論文”で、現在も購入可能です。


3) 阪神間 ・京阪間鉄道における煉瓦 ・石積み構造物とその特徴

/著者;小野田 滋/土木史研究 第20号/2000.5

 京阪神間の煉瓦 ・石積み構造物の特徴を捉え、現地調査結果をまとめています。(PDF/外部リンク

4) 組積造による斜めアーチ構造物の分布とその技法に関する研究
/著者;小野田 滋、河村清治、須貝清行、神野嘉希/土木史研究 第16号/1996.6

 「ねじりまんぽ」の分布や技法についてまとめた論文です。(PDF/外部リンク

5) 関西地方の鉄道における「斜架拱」の分布とその技法に関する研究」

/JR西日本 河村清治、小野田滋、木村哲夫、菊池保孝/土木史研究 第10号/1990.6

 JR西日本管内の「ねじりまんぽ」を本格的に調査し、まとめています。(PDF/外部リンク


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