KITAHATA URBAN DESIGN CORPORATION

平成10年度「RCCM」試験解答

合格者の準備した解答原稿です。実際の解答とは、
多少違いはありますのでご了承下さい。

H15/4/18
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問題
T

次の問題について解答しなさい。


業務概要
(1)業務の名称・発注者・実施期間
 昨年までは、「発注者・期間」は無かったようです。/ 2行=50文字以内
(2)業務の目的
 8行=200文字以内
(3)業務の内容
 11行=275文字以内
(4)あなたの果たした役割
 4〜5行程度=100〜125文字以内

業務評価
(1)業務の特異点 / 14〜15行程度
(2)技術上の問題点とその解決策 / 14〜15行程度
(3)業務実施上の問題点とその解決策 / 12〜13行程度
(4)あなたがとった(2)(3)の解決策について、現時点での評価 / 16行程度

模 擬 解 答

1.業務概要(650〜800)

@業務の名称(20〜30)
 ○○市○○敷地造成事業基本設計及び実施設計

A業務の目的(150〜200)
○○市が計画中の○○工場(ゴミ焼却場)の敷地造成整備のため、基本計画を策定した上で、敷地の造成、進入道路、河川改修等の設計を行うことを目的とする。

B業務の内容(300〜400)
 業務の主な内容は下記のとおり。
・高盛土地盤の安全性の確認。
・谷部埋め立て後の雨水排水処理施設の設計。
・放流先渓流の改修設計。
・防災調整池の設計(1基)
・砂防ダムの設計(3基)
・擁壁の設計。
・急勾配進入道路の設計。
・宅地造成等規制法、砂防法、森林法等、開発関連法令 の技術基準と設計内容との整合。

C私の果たした役割(130〜170)
 建設コンサルタントの担当課長として現場代理人となり基本設計から実施設計の全般にわたり業務に従事し、設計協議、調査部門との調整、課員の技術指導、報告書の作成、総括とりまとめを行った。

2.業務評価(1,400〜1,600)

@業務の特異点(300〜350)
 近年、都市近郊に於ける開発適地が減少し、宅地開発が丘陵地から山間部に及ぶ一方、ごみ焼却場・最終処分場、運動公園等の公共公益施設も次第に山間部に立地するようになった。しかし、その周辺河川は殆ど未改修で、何らかの方法で洪水時のピーク流量を抑制する必要がある。
また、造成は尾根を切土した土砂で渓流を盛土する工法となり、高盛土の安定や地下水の排除等、防災上の問題も多く、排水ル−ト設定も難しい。
 開発に伴う流出抑制施設は、防災調整池を設置することとした。現況地形が急峻な上、平地を多く確保するよう法肩を極力下流へ設置したため、雨水排水は盛土上のフラット盤から盛土法尻を流下し、谷部の調整池へ流入するル−トとした。

A技術上の問題点とその解決策(300〜350)
 盛土法尻の急傾斜水路に関し、シュート式流路工は、減勢されることなく流下するため流速が増し、溢水やキャビテ−ション浸食の危険性がある。大規模な減勢工のため、土地の有効率も低くなる。
 多段落差工は各段毎に長い水叩が必要で、盛土勾配から決まる法尻の範囲には収まらない。また、コンクリートの摩耗、土砂の堆積等維持管理上の問題も生じる。
そこで、この急傾斜水路に対し、
        減勢式多段落差工
を提案した。
 これは、落差工の跳水を格段毎に設置する減勢工で常流に戻すことによって水叩部を短くし、流水の安定、流速の減少、維持管理上の問題の解決を図ろうとするものである。
 水理学上これらの問題は、過去様々な形で取り扱われており、多くの理論式や実験式が発表されている。そこで、水理模型実験を行い、実験の結果と既発表の方程式とを比較検討し、近似する方程式を用いた設計手法を提案した。

B業務の実施上の問題点とその解決策(300〜350)
 本業務は、○○市の事業ではあるが、ゴミ焼却施設に関する厚生省との協議の他、土木技術の内容に関し、
・市内部の建設部門との調整
・関係法令の技術基準をクリア−するための○○県各部門(宅造法、砂防法、森林法他)との協議
を行う必要があった。
 特に関係法令のクリア−は、各々異なる技術基準を全て満足せねば為らず、関係官庁に出向き資料を示して技術内容の協議を重ねた。その結果、通常の「許可申請書」に代わる「協議書」として、関係書類、図面、各種設計計算書を添付の上提出し、「協議完了通知書」を取得するに至った。

C技術上、業務実施上の解決策について、現時点での評価(350〜400)
・提案した減勢式多段落差工は全落差36mの水路にて採用され、他工法に比べ安全で経費縮減の効果も得た。
・提案した設計手法は類似業務でも利用されている。 ・竣工後、洪水時の現地調査では、水路曲線部を始点として、水位上昇の影響と見られる横波が発生していた。今後は曲部上昇高を見込むだけでなく、横波の影響について検討すべきと考える。
・フル−ドの相似則に従いレイノルズ則を無視したが、減勢効果の面から考察すると粘性力も重要であり、粗度係数が大きな構造の場合について、検討の必要がある。
・逆傾斜水路、自由落下式(水クッション)等、実用的な減勢工との組み合わせもこれからの課題である。
・既存の水理公式の中から、実験値と適合性の高い式を用いて設計を行ったが、今後はより大きな縮尺にて実験を重ね実験式を作成したい。
・複数の関係官庁との協議は技術的側面の他、交渉力や協議書の表現力、工程管理能力も要求される。管理技術力を身につける上で大変良い経験となった。


以上
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