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平成10年度「RCCM」試験解答

合格者の準備した解答原稿です。実際の解答とは、
多少違いはありますのでご了承下さい。

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想定問題−1

建設コンサルタント業務に於けるミス防止のためのチェックシステムについて、以下の点について記述しなさい。


1.常時の人的体制と実施すべき事項
2.具体の業務遂行での人的体制と実施すべき事項
3.設計業務に於いて、着手前、設計中及び完成直前の3段階に分けて、それぞれチェックすべき項目とその内容
4.業務の瑕疵を防ぐための注意点を3点あげて説明しなさい。
5.あなたが最近経験した業務について、管理技術者の立場から、チェック項目とチェックの要点を述べなさい。

模 擬 解 答

 従来、建設コンサルタントの瑕疵担保に関する規定はなかった。しかし、平成7年に定められた「土木設計業務等委託契約書」では、瑕疵の請求は引き渡しから3年以内と定められた。但しその瑕疵が、受注者の故意又は重大な過失により生じた場合には10年とされている。
 このような瑕疵は土木構造物の破壊・倒壊・崩壊の原因となる危険性を持っており、社会に与える影響は非常に大きく、場合によっては人命や財産を損なう場合もあり、被害は甚大である。また損害を請求された場合、建設コンサルタントは経営基盤が弱く、企業としての致命傷となることもあり得る。
 これらのことから、絶対に瑕疵を防ぐような方策が取られなければならず、品質管理を徹底する必要がある。

1.常時の人的体制と実施すべき事項
 建設コンサルタントの人的体制は、経験豊富で管理能力にも優れた技術士を中心とし、その指導のもとに、管理・照査の責任者となるRCCMを配置する。設計ミス防止のためには、この体制の能力を十分に発揮し、下記のような方策を採る必要がある。

1)技術力の向上
 瑕疵発生の大部分は、知識の不足と単純ミスにより生じる。また、知識があってもその対応に間違いがあった場合も同様のミスを生む。故に、設計者個々の技術力の向上が、設計ミスを防ぎ瑕疵を防ぐためには不可欠である。

2)チェックシステム・体制の強化
 一方、人は必ず間違いを犯すものであり、担当者以外の第三者によるチェックが必要である。建設コンサルタントの場合、チェックを担当者個人の責任に帰した場合、時間等の制約から不完全になりやすい。そのため、チェックリストやマニュアルの作成、チェック専門のセクションの設置など、企業全体としての取り組みが必要である。
 また、発生してしまったミスの原因を追及したり、事例や対策の勉強会を開催することも必要である。

3)設計基準の標準化、手順のシステム化
 各種要綱、指針、マニュアルを有効に利用して設計の標準化を図る。

 更に、業務計画書を作成し、目的や工程計画等を明確にして作業を行い、管理技術者が定期的にチェックする体制を作るほか、計算や製図業務は極力電算化しシステム化する。

2.具体の業務遂行での人的体制と実施すべき事項
 建設コンサルタントが業務を受注した場合の人的体制は、技術士又はRCCMが技術上の一切の責任者である管理技術者となり、契約事項を遂行し業務を完成させる。管理技術者は作業の各段階毎に、担当者にチェックを行わせるとともに、ポイントとなる項目を自らチェックしなければならない。
 また、管理技術者とは別に照査技術者を置き、業務上の瑕疵を未然に防止するため、作業工程の最終段階において成果物の内容を照査する。
 一方、業務遂行の流れの中で、設計ミスを防ぐため、実施すべき事項は次のとおりである。

1)「業務計画書」の作成
 発注者・受注者の両方において、業務の目的、実施方法、工程、実施体制、成果品、照査等について確認した上で、業務に着手する。その内容は、コンサルタントの職員にも十分徹底する。

2)設計成果のチェック
 再計算・再設計、要点数値の検討、図面通覧、類似比較、チェックリスト等を実施し、成果のチェックを行う。

3.設計業務に於いて、着手前、設計中及び完成直前の3段階に分けて、それぞれチェックすべき項目とその内容
1)着手前
 「業務計画書」を作成し、発注者・受注者の両方において、業務の目的、実施方法、工程、実施体制、成果品、照査等について確認した上で、業務に着手する。その内容は、コンサルタントの職員にも十分徹底する。

2)設計中
 建設コンサルタントが業務を受注した場合、技術士又はRCCMが技術上の一切の責任者である管理技術者となり、契約事項を遂行し業務を完成させる。管理技術者は作業の各段階毎に、担当者にチェックを行わせるとともに、ポイントとなる項目を自らチェックしなければならない。
 方法としては、再計算・再設計、要点数値の検討、図面通覧、類似比較、チェックリスト等があり、これらを実施して成果のチェックを行う。

3)完成直前
 管理技術者とは別に照査技術者を置く。照査技術者は、業務上の瑕疵を未然に防止するため、作業工程の最終段階において成果物の内容を照査する。

4.業務の瑕疵を防ぐための注意点を3点あげて説明しなさい。
1)技術力の向上
 瑕疵発生の大部分は、知識の不足と単純ミスにより生じる。また、知識があってもその対応に間違いがあった場合も同様のミスを生む。故に、設計者個々の技術力の向上が、設計ミスを防ぎ瑕疵を防ぐためには不可欠である。

2)チェックシステム・体制の強化
 一方、人は必ず間違いを犯すものであり、担当者以外の第三者によるチェックが必要である。
 建設コンサルタントの場合、チェックを担当者個人の責任に帰した場合、時間等の制約から不完全になりやすい。そのため、チェックリストやマニュアルの作成、チェック専門のセクションの設置など、企業全体としての取り組みが必要である。
 また、発生してしまったミスの原因を追及したり、事例や対策の勉強会を開催することも必要である。

3)設計基準の標準化、手順のシステム化
 各種要綱、指針、マニュアルを有効に利用して設計の標準化を図る。
 更に、業務実施計画を作成し、工程計画を明確にして作業を行い、管理技術者が定期的にチェックする体制を作るほか、計算や製図業務は極力電算化しシステム化する。

5.あなたが最近経験した業務について、管理技術者の立場から、チェック項目とチェックの要点を述べなさい。
防災調整池の設計に関し、主なチェック項目とその要点を述べる。

1)工種の選定
 流域流出抑制工法には大きくは貯留式と浸透式があり、それぞれ細かな工法に別れている。業務の目的に合致した最適工法を選択する必要がある。

2)設計条件・計算方法の適否
 洪水調節・水位計算そのものは電算で行うものの、その設計条件は十分検討されたものでなければならない。

3)堤体、余水吐、オリフィス等の規模算定
 堤体の安定や、放流施設の規模が妥当であるかについて類似比較する。特に堤体基礎条件、周辺法面・擁壁の土質条件、設計水位の取り扱い等には注意する必要がある。



想定問題−2
     
公共工事のト−タルコストの縮減に対する建設コンサルタントの役割は重要となってくることを踏まえて、以下の点について記述しなさい。


1.業務の実施にあたって、コストの縮減についての取り組み方について述べよ。
2.工事費のコストダウンとなるような調査・計画・設計における創意、工夫あるいは制度的提案について3点あげて説明しなさい。
3.建設コンサルタント業務の生産性向上のための施策を3点あげて説明しなさい。


模 擬 解 答


1.業務の実施にあたって、コストの縮減についての取 り組み方について述べよ

建設コンサルタントは、設計者として、公共事業全般 に関与しており、顧客である国民に、良質でト−タルコストの少ない社会資本を提供することが責務である。設 計・施工・維持管理並びに耐用年数を含めて検討されるト−タルコストを視野に入れ、コスト縮減に対する国民の強い要請を真摯に受け止め、技術力・提案力を向上し、格段の努力を行う。
 特に、業務の中でコスト縮減に最も大きな影響を及ぼすのは、計画、概略・予備設計等設計業務の上流側の成果である。この段階では資料の不備等の問題もあるが、総合的に検討し、最も適切な方式を業務ごとに柔軟に適応できるよう、設計システムの改革を行う。
 また、設計に関わる全ての面について、現行システムにとらわれず、設計システム、基準類、安全性、施工性等をコスト縮減の視点から総点検する。

2.工事費のコストダウンとなるような調査・計画・設計における創意、工夫あるいは制度的提案について3点あげて説明しなさい。

1)最適な構造物、施工方法を選定するための比較検討において、より幅広い視点から設計内容を検討するシステムの導入を図る。また、コスト縮減を目的に特定のプロジェクトにおいて独立したチ−ムを編成し設計VEを実施する。

2)設計の標準化は重要であるが、設計基準の中には時代に合わなくなったものや、コスト意識の低いものもある。そこで、コスト縮減の視点及び最終建造物の機能性並びに安全性の確保の観点から、設計基準類を見直し改訂する。

3)公共事業を円滑に推進することは、コスト縮減の重要な要素であり、そのためには地域住民あるいは国民全体の理解と協力が不可欠である。そこでげ、GISの利用やCGを使ったわかりやすい表現を工夫し、インタ−ネット等を活用して速くて正確な情報を公開する必要がある。

3.建設コンサルタント業務の生産性向上のための施策を3点あげて説明しなさい。

1)多くの設計業務の発注は、設計区分(概略、予備、詳細)毎に分割発注の形態を採用している。しかし、このシステムでは、
・資料収集や設計計画において、作業が重複し無駄が多い。
・事業全体の流れがつかみにくく、一貫性に欠け、ト−タルとして良いものを安く作りにくい。
・担当者が変わることなどにより、設計思想の継承が不十分になる。
等の問題が多い。
 そのため設計業務は、一連の業務として発注するものとする。

2)設計者自身の自己改革が必要である。高齢化、国民ニ−ズの多様化、国際化の流れの中で、強いコスト意識を持ってコスト縮減と品質の確保・向上を図らなければならない。
 設計・施工情報のデ−タベ−ス化、新材料・新工法の採用の検討、各種シミュレ−ション手法の実用化等の技術開発を積極的に展開する。

3)建設CALS/ECの実用化を推進する。単に構造計算を電算で行ったり、CADデ−タを再利用するだけでなく、情報処理能力を飛躍的に増大させることができる。更に設計情報を電子情報として取り扱うことによって設計プロセスの改革を行い、品質確保や生産性向上に繋げることができる。また、公共事業の計画・設計から施工・維持管理に至るまでのト−タル管理が可能となり、社会資本全体のコスト縮減となる。

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