■5月3日、篠津川橋梁の次に向かったのは
兵田川橋梁
降りるところは直ぐに見つかりましたが、
まんぽに入ってからコンベックスを自転車に忘れたことに気づきました。
兵田川橋梁は篠津川橋梁の南約170mの位置にあります。
側壁は石積み4段で階段状になっているのが特徴です。
実測の結果は次の通りです。
全 長 L≒21m、
正径間 W=2.43m(8ftジャストである)
斜径間 a=2.80m
斜架角 θ=60°(=坑門角とした)
起拱角 β≒30°(実測値)
山崎-高槻間の一般煉瓦橋の殆どの正径間長(幅員)が8フィートであることや、
他の煉瓦橋もフィート単位でフィットすることから、
8フィートで設計されたと考えられます。
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東側(下流)の様子 |
側壁は石積み4段、階段状
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立上り角β(起拱角)≒左30°前後
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西側坑門/石積み |
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西部一部漏水有り/”継ぎ目”と断定
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継ぎ目拡大 |
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西側上流部はコンクリートボックス |
銘板 |
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データシート |
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図1−断面概要図
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図2−平面概要図
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図3−β実測値と理論値の比較(クリックで拡大図)
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図4−煉瓦の形状
(調査時期箇所により差有り/データシート参照)
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■斜架角θ=60°からβ(起拱角)の理論値を求めると
起拱角 β=20°(tanβ=2/(π・tanθ)より)
しかし、実測起拱角 βはもっと大きく、
測定場所でバラツキがあるものの、概ね 30°前後でした。
篠津川橋梁と同様で、起拱角が理論値より約10度も大きいのです。
ねじりすぎる”ねじりまんぼ”
と云うことになります。
(参考/β=30°から逆算すると、θ=48°)
■ほぼ同時に施工されたと思われる篠津川橋梁と大きな違いは
レンガの大きさです。
現場に入って直ぐに、一回り大きいと気づくほどです。
今まで見た”ねじりまんぼ”の中では
一番大きなレンガが使われているのではないでしょうか。
下り線側(西)はボックスカルバート(昭和42年)となっています。
■1872年(明治5年)に新橋駅(現汐留)=横浜駅(現桜木町)が開通し、
1889年(明治22年)に
国府津駅 - 浜松駅間
関ヶ原駅 - 米原駅 - 大津駅間
が開業。
こうして鉄道開業から17年で新橋駅から神戸駅までが結ばれました。
この時期に作られたねじりまんぽが上り線外側(東)。
ねじりまんぼの西端から概ね3m地点の漏水跡が
その後の複線化で作られた部分とのジョイントと思われます。
■結論
1. 文献2)ではθ(斜架角)は60°と記されおり、
実測値(坑門角)に合致します。
2.θ(斜架角)を60°から求めたβ(起拱角)の
理論値(図−3 ●青丸)は20°で
実測値(図−3 ●赤丸)より10°小さくなります。
逆の言い方をすると
ねじら無くて良いくらい、ねじっている
3.複線化工事による接続痕跡が確認出来たことから、
ねじりまんぽの内、東側約18mは開業の明治22年(1889)、
西側約3mはその後追加施工されたと推定されます。
追加施工の時期は未調査ですが、
市三宅田川橋梁上りと同じ明治35年(1902)
旧逢坂山隧道2本目と同じ明治31年(1898)
が考えられます。
以上の調査データをまとめ、データシートとしてPDFにしました。
⇒⇒No13 兵田川橋梁 調査データ(PDF)
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■なお上記「調査ーデータ」を作成するにあたっては、下記の考えに従いました。
●ねじりまんぽの番号
/「鉄道と煉瓦」表4-1”一覧表”(P117)における番号を採用。
●方向
/東西南北の表示は主たる方向とした。
●経度緯度
/ Google Earth より求めた。
●煉瓦形状
/手作り煉瓦であるので寸法にバラツキがある。故に代表値。
●積み方/イギリス積み、オランダ積みの区分
/コーナーの仕上げ形状により、イギリス積みとオランダ積みが区分されるので、
/文献「鉄道と煉瓦」にならい、一般的に”イギリス積み”と表記。
/ただし、コーナー部が”オランダ積み”と確認できたもののみ”オランダ積み”と表記。
●θβの左右区分
/「鉄道と煉瓦」にならい、側壁に向かってアーチの煉瓦が右上がりの場合「右」
、左上がりの場合「左」 と表記。
●中心キロ程
/現行距離程による。(開業時とは異なる)
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位置図
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■なお、ねじりまんぽのページは”たけちゃん”と協力して作っていますので、
写真、図表、データシート(PDF)添付資料
等々、たけちゃん作成の資料を用いています。
また、この日以降も”たけちゃん”が毎週のように調査を続けていますので、
その結果を踏まえて書いています。
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