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KITAHATA URBAN DESIGN CORPORATION

第91号橋梁

南側坑門より北方を望む
京都府南丹市八木町八木 (付近)/山陰本線(JR嵯峨野線)
平成26年3月9日撮影


”ねじれ”の大きさは、国内トップクラス

■高校・大学の学友”たけちゃん”から、

 「準備不足ながら”第91号橋梁”を見に行ったが、探しきれなかった」

と聞きました。


そこで、ネット上に公表されているの関連写真から周辺状況を観察。

そのデータを元に、

   ”ストリートビュース”

を使って国道9号線の八木駅周辺をドライブ、

場所を特定することに成功しました。

早速、二人で探検に行きました。


■現地に着くと”たけんちゃん”曰く、

   「前回ここまでは来たけど、右へ向かった。」

直横まで来たのに反対方向に進んだらしい。


今回は、迷わず廃屋となった建物の裏に回り込みます。

水路には数段の階段が付いており、降りると両側ともにボックスカルバート。

JR側に数メータ進み目が慣れると、

そこには”ねじりまんぽ”の中でした。


■早速、「測量士」二人がかりで

   交差角度(斜架角)θ

   煉瓦の立上り角β(起拱(きょう)角、スキュー角)

を求めるため必要な測定を開始。

ちゃんとしたデータとするため、写真もポールを立てて撮影しました。

予備知識は有りましたが、β(起拱角)が大きいことは一目瞭然です。


南側坑門/正径間=1.81m 南側坑門/全高=1.90m

南側端面/”面一(つらいち)”確認

立上り角β(起拱角)≒右34°(実測)
南西側、側壁端部

北側坑門付近より南方を望む/右回り
JR下のヒューム管とボックス さらに北の国道9号線下の様子


■ねじりまんぽの北側には、

複線化工事によると思われるヒューム管とボックスが伸びていました。

さらに国道9号線橋梁と続いて、ようやく明かりを見ることができます。

ですから懐中電灯と撮影にはフラッシュが必要です。

まんぽの用途は水路ですので、一部水が溜まっており、長靴も必要です。


■後日データを整理した結果、

1.β(起拱角)は関西幹線の第272号と競い日本で1番か2番の傾き。

2.θ(斜架角)とβ(起拱角)との関係は、理論値に概ね合致。

以上が実測で確認出来ました。

言い換えると

  日本で1,2を争う大きな「ねじれ」

となります。


位置図



INFORMATION

1.「ねじりまんぽ」とは
2.「ねじりまんぽ」を見に行こう
3.「ねじりまんぽ」の構造
4.「ねじりまんぽ」建設再現
5.番外偏
6.マスコミで紹介されました
7.「ねじりまんぽ」一覧表
8.参考文献/参考外部リンク

参考文献

1) 斜架拱(しゃかきょう)
/伊藤鏗太郎(イトウ コウタロウ)編訳/1899年(明治32年)

 我が国で初めて斜架拱”ねじりまんぽ”を単独で取り上げた書物と思われます。
 国立国会図書館・蔵書検索システム(外部リンク)で検索すると、原著のPDFデータを閲覧ダウンロードすることができます。


2) 鉄道と煉瓦−その歴史とデザイン

/著者;小野田 滋(おのだしげる)/鹿島出版会/2004発行

 煉瓦の歴史や組積方法鉄道構造物としてのデザイン等について記されています。
 全国45都道府県を調査した”足で書かれた論文”で、現在も購入可能です。


3) 阪神間 ・京阪間鉄道における煉瓦 ・石積み構造物とその特徴

/著者;小野田 滋/土木史研究 第20号/2000.5

 京阪神間の煉瓦 ・石積み構造物の特徴を捉え、現地調査結果をまとめています。(PDF/外部リンク

4) 組積造による斜めアーチ構造物の分布とその技法に関する研究
/著者;小野田 滋、河村清治、須貝清行、神野嘉希/土木史研究 第16号/1996.6

 「ねじりまんぽ」の分布や技法についてまとめた論文です。(PDF/外部リンク

5) 関西地方の鉄道における「斜架拱」の分布とその技法に関する研究」

/JR西日本 河村清治、小野田滋、木村哲夫、菊池保孝/土木史研究 第10号/1990.6

 JR西日本管内の「ねじりまんぽ」を本格的に調査し、まとめています。(PDF/外部リンク


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