TOPうんちく今、土木が熱い!土木見学ねじりまんぼ>No22-奥田畑橋梁

KITAHATA URBAN DESIGN CORPORATION

奥田畑橋梁
No.とうかい140/JR京都線
奥田畑橋梁/大阪府高槻市梶原5丁目
東海道本線(JR京都線)
平成27年9月22日撮影


ママチャリで発見

■高校〜大学時代の友人が大阪に帰ってきて以来、

彼が『はまった』明治時代の土木遺産

   ” ねじりまんぽ ”(煉瓦斜拱渠)

に、こちらもはまってしまいました。


明治時代、田んぼや水路・通路があったところに

鉄道を横断させたので、水路や通路が分断されました。

そこで、トンネルを造ってこれまで通りに通れるようにしたというわけです。


鉄道と道路が直角に交差するところでは

普通に水平に積んでいくのですが、

斜めに交差するところでは、このねじりまんぼが施行されました。


数は正確には把握されていませんが、

全国に約30箇所しか無いと言われています。

その内、約2/3が近畿地方にあります。


特に旧東海道本線は

ねじりまんぼの宝庫と言われています。



奥田畑橋梁/大阪府高槻市梶原5丁目
平成22/4/10撮影

■メッチャ、マイナーな趣味やけど・・・

この趣味は”地の利”が大事で、

世間が花見で浮かれている4月10日、

JR山崎〜島本〜高槻を線路沿いにママチャリで走り、

地図を片手に、JR京都線のトンネルを一つ一つ見て回りました。


■家を出てから約1時間、

普通のレンガ積みのトンネルばかりでしたが、

9箇所めで、ようやく”ねじりまんぼ”を発見しました!!


北側半分はコンクリート製ですので

線路を増やした時に新しく作った物でしょう。

南側は正真正銘明治9年完成のマンボです。


一般的なマンボは、レンガを水平に積み、

アーチで造っているんですが、

線路と道路(トンネル)が直角でない場合、

レンガが線路と直角に近くなるように、レンガを積んでいます。

結果的に道路側から見ると捻ったように見えるのです。

西郷隆盛がまだ生きていた明治9年から、

130年以上現役の土木構造物です。


■見学時には周辺の田畑に配慮しましょう。

周辺に駐車場は有りません。

たまにバイクや軽四も走りますので、交通安全には御注意下さい。

南側入口
北側半分はコンクリート製
側壁部
下段はイギリス積というらしい
レンガの面は斜めに”はつって”あります

レンガは京都の桂で作られたそうです
「鉄道と煉瓦」では「奥田端」と記されていますが
現場には「奥田畑」とあるので、ここでは「奥田畑」と
表記しています。


     
■JR京都−大阪間(約43km)には、

明治9年までに作られた煉瓦アーチ橋(スパン1.0m以上)が約80箇所有りました。

その内、向日町〜山崎〜高槻〜茨木に作られてものは殆どが残っており、

日本全国に26箇所しか残っていない”ねじりまんぽ”も3箇所含まれるなど、

貴重な土木遺跡群となっています。

そこで、この区間を全国的知名度の高さと、

距離的中心駅名(現状では島本駅)から山崎駅の名を取って

     「山崎煉瓦アーチ群」

と名付けました。


”ねじりまんぽ”に呼ばれました
ついに、「ねじりまんぽ」が関西テレビで紹介されました

■平成27年9月22日、

長いこと観に行ってない

   奥田端のねじりまんぽ

今年からのJRの法面工事や

新名神関連取付道路の工事が進む中、

どうなったか気になったので、ちょっと見に行ってきました。

とりあえずマンポ本体は触られていなかったので一安心。

JRの法面工事と同時に側道も広がりました 第二名神接続道路工事
「高槻市まちかど遺産」のサイン 案内文/クリックで大きくなります


■するとどうでしょう、

24日、突然”関テレ”が取材に来ました。

呼ぶんですね!!


一人では心許ないので、「ねじりまんぽ研究会」のたけちゃんに連絡したのですが、

   仕事中!!

やむなく一人で対応しました。


まず、事務所でうんちくを説明。

その後、高槻の「奥田端のねじりまんぽ」を案内してきました。


■放送は、9月30日夕方、

   17:40〜18:00(の中の数分?秒?)

   関西テレビ/夕方LIVE・ワンダー

阪神間の生活文化を描いた作品としても知られる、

    谷崎潤一郎の「細雪」

そこに出てくるのが、西宮の「マンポ」。

番組では、その語源を探求する中で、

ちょっとだけ、「ねじりまんぽ」が紹介されました。



INFORMATION

1.「ねじりまんぽ」とは
2.「ねじりまんぽ」を見に行こう
3.「ねじりまんぽ」の構造
4.「ねじりまんぽ」建設再現
5.番外偏
6.マスコミで紹介されました
7.「ねじりまんぽ」一覧表
8.参考文献/参考外部リンク


参考文献


1) 斜架拱(しゃかきょう)
/伊藤鏗太郎(イトウ コウタロウ)編訳/1899年(明治32年)

 我が国で初めて斜架拱”ねじりまんぽ”を単独で取り上げた書物と思われます。
 国立国会図書館・蔵書検索システム(外部リンク)で検索すると、原著のPDFデータを閲覧ダウンロードすることができます。


2) 鉄道と煉瓦−その歴史とデザイン

/著者;小野田 滋(おのだしげる)/鹿島出版会/2004発行

 煉瓦の歴史や組積方法鉄道構造物としてのデザイン等について記されています。
 全国45都道府県を調査した”足で書かれた論文”で、現在も購入可能です。


3) 阪神間 ・京阪間鉄道における煉瓦 ・石積み構造物とその特徴

/著者;小野田 滋/土木史研究 第20号/2000.5

 京阪神間の煉瓦 ・石積み構造物の特徴を捉え、現地調査結果をまとめています。(PDF/外部リンク

4) 組積造による斜めアーチ構造物の分布とその技法に関する研究
/著者;小野田 滋、河村清治、須貝清行、神野嘉希/土木史研究 第16号/1996.6

 「ねじりまんぽ」の分布や技法についてまとめた論文です。(PDF/外部リンク

5) 関西地方の鉄道における「斜架拱」の分布とその技法に関する研究」

/JR西日本 河村清治、小野田滋、木村哲夫、菊池保孝/土木史研究 第10号/1990.6

 JR西日本管内の「ねじりまんぽ」を本格的に調査し、まとめています。(PDF/外部リンク


 TOPうんちく今、土木が熱い!土木見学ねじりまんぼ>No22-奥田畑橋梁


ホ−ムペ−ジへ戻る