TOPうんちく今、土木が熱い!土木見学土木見学リストねじりまんぽ>No29-欅坂橋梁

KITAHATA URBAN DESIGN CORPORATION

欅坂橋梁

撮影/令和5年2月16日/たけちゃん撮影

▼前へ(No26-東皿池橋梁)/ねじりまんぽ・本文/次へ(No30-旧折尾高架橋)▲

ねじりマンポ もくじ
1.「ねじりまんぽ」とは
2.「ねじりまんぽ」を見に行こう
3.「ねじりまんぽ」の構造
4.「ねじりまんぽ」建設再現
5.番外偏
6.マスコミで紹介されました
7.「ねじりまんぽ」一覧表
参考文献、リンク
下のボタンを押すとご覧のページを
facebookシェアーすることが出来ます

下記は広告です(広告ページへ移動します)



一番内側だけが「ねじり」か?

■この「ねじりまんぽ」も

文献「鉄道と煉瓦」に記載が有ります。

その構造は珍しく、端面6巻のうち、

一番内側だけが「ねじり」になっているようです。

さらに、斜径間は6.40mと

現存する中では「六把野井水拱橋」についで二番目の長さです。

その他にも様々な特徴が有り、

珍しさを集積したような特異な形状の「ねじりまんぽ」です。


■2023年2月1日から九州のねじりまんぽやレンガ橋を

”たけちゃん”が単独で調査にいきました。

    が・・・・・・・・・・・

何と撮影した写真を全て消去しまう

というミスを犯してしまいました。

そのため、たけちゃんは2月15日から3泊4日で再訪。

多くのレンガ橋と共に、

  29-欅坂橋梁(本文)

  30-旧折尾高架橋

  34-皇后崎橋梁

3基の「ねじりまんぽ」を調べてきました。


以下、彼のブログ

  Day by day(外部リンク)

から引用します。(一部編集しています) 


”たけちゃん”ブログから


■前回は歩いて見て回ったが、

今回は折り畳み式自転車を持って行く。

いわゆる「輪行」である。


■15日、前回同様、大阪南港からフェリーで新門司へ。

折り畳んだ自転車は12kgほど。

リュックに測定器やら着替え、カメラで5kg。


■16日 AM5時半に着岸。自転車を組んで出発。

夜明け前。真っ暗である。

門司駅まで小一時間で到着。自転車を畳んで電車に乗り込む。

7時半過ぎに「採銅所駅」に着く。大正4(1915)年建築。

ここで自転車を取り出し、

欅坂橋梁ほか前回無くしたアーチ橋を撮りに回る


■JR日田山線(ひたさんせん)採銅所駅は無人駅だ。

町の文化財として維持保存されている。

なんともレトロでロマン感が漂う

駅から数百メートル先にぽっかり口を開けている隧道が見える

途中の道で立ち止まっては写真を撮る人がいる

駅から1km行くか行かないで3連橋がある。高原3連橋である。

今回、このほか内田3連橋、中津原3連橋に行ったが、このアーチ橋が一番大きい。


■高原3連橋から今一度、採銅所駅方向に戻り、

生活道路の秋月街道を走る。

駅から1.3km。未舗装道路と合流するが、

その先2,30メートル先に大熊橋梁がある。

さらに、大熊橋梁から約1.2km。

大きな口を開けたアーチが現れる。

  欅坂橋梁

である。

レンガ6層積みで坑門は切石を積んである。

6巻のレンガの1巻目だけが鋸歯になっている。


欅坂橋梁
反対側の坑門
レンガ6層積みで坑門は切石を積んである。
6巻のレンガの1巻目だけが鋸歯になっている。
起拱石(迫受石)と壁面の石積み工
天井
鋭角部(槍角部)
鈍角部(菱角部)


■撮影を終え、正径間長、斜径間長などを測る

大型のデジタル分度器で槍角、菱角を測る

測ったものを図化した。

正径間長Sa=5560mm、斜径間長Sb=6400mm、長さ 8.9m





橋台の槍角、菱角をデジタル分度器で測る



図中の四角い枠内の数字が実測で得た角度である。

レンガの傾き起拱角は撮影したものを測った





ほぼ一致している。

【参考/北畑追記】

隅角部(すみかど)部が90度の場合「本角(ほんかく)」、

鋭角の場合「槍角(やりかく)」、鈍角の場合「菱角(ひしかく)」、

円弧状の場合「丸角(まるかく)」と言います。


■ねじりまんぼの欅坂橋梁の各部を測ったので、

ペーパークラフトを作った。

平面図と立面図よりアーチの展開図を書く。

半円の周長を10等分して作図している。



これが、アーチ部となる

斜め線がレンガの方向を示している。


■欅坂橋梁は欠円アーチである。

ここが、作図する上で面白いところだ。



これに側面となる壁面を付け加えるとペーパークラフトの天井、側面となる

■3D-CADで描こうとしたが、

さすが「ねじりまんぼ」たるゆえんのレンガの斜行が表現できない・・・

上からのみ紹介。




■以上、たけちゃんのブログ

  Day by day(外部リンク)欅坂橋梁−1−2−3

から引用しました。(一部編集しています) 

諸元の整理

データシート

■ここからは、たけちゃんの観測データを元に諸元を整理していきます。

「斜架角 θ」については、「坑門角 α」の実測値値としました。

その他、実測諸元を下記のとおりとしました。

図−β実測値と理論値の比較
(クリックで拡大図)  
  
正径間  W= 5.56m
斜径間  a= 6.40m

巾員  L= 8.90m

斜架角  θ= 60度 (実測坑門角αと同じ)

起拱角  β= 22°(3カ所測定平均)

20°(理論値)



■概ね理論どおりの計画、施工だったと思われます。

欅坂橋梁の特徴として下記の点が上げられます。

1.端面6巻のうち、一番内側だけが「ねじり」になっていると思われる。

  他に例はない。

2.断面は欠円である。

  現存するねじりまんぽの中では「六把野井水拱橋」「旧折尾高架橋」「姉橋」「千代ケ崎砲台(三カ所)」の7カ所のみ。

3.斜径間が6.40m(文献2)では6.55m)と現存する中では「六把野井水拱橋」についで二番目の長さ。

4.迫受石がある。

  現存するねじりまんぽの中では「門の前橋梁」と二カ所のみ

珍しさを集積したような特異な形状の「ねじりまんぽ」です。


■以上の調査データをまとめ、未計測項目がありますが、

データシートとしてPDFにしました。

⇒⇒No29 欅坂橋梁 調査データ(PDF)
    (新しいウインドウが開きます)

    

■なお上記「調査ーデータ」を作成するにあたっては、下記の考えに従いました。

●ねじりまんぽの番号
 /「鉄道と煉瓦」表4-1”一覧表”(P117)における番号から不掲載分を追加。

●方向
 /東西南北の表示は主たる方向とした。

●経度緯度
 / Googleマップ より求めた。

●煉瓦形状(今回はデータ無し)
 /手作り煉瓦であるので寸法にバラツキがある。故に代表値。

●積み方/イギリス積み、オランダ積みの区分(今回は無し)
 /コーナーの仕上げ形状により、イギリス積みとオランダ積みが区分されるので、
 /文献「鉄道と煉瓦」にならい、一般的に”イギリス積み”と表記。
 /ただし、コーナー部が”オランダ積み”と確認できたもののみ”オランダ積み”と表記。

●θβの左右区分
 /「鉄道と煉瓦」にならい、側壁に向かってアーチの煉瓦が右上がりの場合「右」 、左上がりの場合「左」 と表記。

●中心キロ程(今回、採銅所駅(既知18.1km)から地図上で計測(2.5km)し、加算した)
/現行距離程による。(開業時とは異なる)


位置図



INFORMATION

1.「ねじりまんぽ」とは
2.「ねじりまんぽ」を見に行こう
3.「ねじりまんぽ」の構造
4.「ねじりまんぽ」建設再現
5.番外偏
6.マスコミで紹介されました
7.「ねじりまんぽ」一覧表
8.参考文献/参考外部リンク

参考文献

1) 斜架拱(しゃかきょう)/伊藤鏗太郎(イトウ コウタロウ)編訳/1899年(明治32年)

 我が国で初めて斜架拱”ねじりまんぽ”を単独で取り上げた書物と思われます。
 この論文はダウンロード(外部リンク/新しいページが開きます)可能です。

■たけちゃんが現代語訳しました。
あくまで原書を読みやすくするという意図をもって作成したものです。
たけちゃんのブログ「Day by day」からダウンロードすることが出来ます。
「Day by day/「斜架拱」現代語訳」(外部リンク)
   
2) 鉄道と煉瓦−その歴史とデザイン

/著者;小野田 滋(おのだしげる)/鹿島出版会/2004発行

 煉瓦の歴史や組積方法鉄道構造物としてのデザイン等について記されています。
 全国45都道府県を調査した”足で書かれた論文”で、現在も購入可能です。


3) 阪神間 ・京阪間鉄道における煉瓦 ・石積み構造物とその特徴

/著者;小野田 滋/土木史研究 第20号/2000.5

 京阪神間の煉瓦 ・石積み構造物の特徴を捉え、現地調査結果をまとめています。(PDF/外部リンク

4) 組積造による斜めアーチ構造物の分布とその技法に関する研究
/著者;小野田 滋、河村清治、須貝清行、神野嘉希/土木史研究 第16号/1996.6

 「ねじりまんぽ」の分布や技法についてまとめた論文です。(PDF/外部リンク

5) 関西地方の鉄道における「斜架拱」の分布とその技法に関する研究」

/JR西日本 河村清治、小野田滋、木村哲夫、菊池保孝/土木史研究 第10号/1990.6

 JR西日本管内の「ねじりまんぽ」を本格的に調査し、まとめています。(PDF/外部リンク


TOPうんちく今、土木が熱い!土木見学土木見学リストねじりまんぼ>No34-皇后崎(こうがさき)橋梁

▼前へ(No26-東皿池橋梁)/ねじりまんぽ・本文/次へ(No30-旧折尾高架橋)▲

下のボタンを押すとご覧のページを
facebookシェアーすることが出来ます



ホ−ムペ−ジへ戻る