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KITAHATA URBAN DESIGN CORPORATION

旧折尾高架橋

撮影/令和5年2月3日(金)/たけちゃん撮影

▼前へ(No29-欅坂橋梁)/ねじりまんぽ・本文/次へ(No31-穿屋川橋梁)▲

ねじりマンポ もくじ
1.「ねじりまんぽ」とは
2.「ねじりまんぽ」を見に行こう
3.「ねじりまんぽ」の構造
4.「ねじりまんぽ」建設再現
5.番外偏
6.マスコミで紹介されました
7.「ねじりまんぽ」一覧表
参考文献、リンク
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西日本鉄道、唯一の「ねじりまんぽ」

■文献「鉄道と煉瓦」に記載が有りましたが

保存状態が非常に悪く、

存続が危ぶまれていた「ねじりまんぽ」

    旧折尾高架橋

2023年2月2日、17日に”たけちゃん”が調査にいきました。

以下、彼のブログ

  Day by day(外部リンク)九州のレンガアーチ探訪旧折尾高架橋−1−2−3−4

から引用します。(一部編集しています) 


”たけちゃん”ブログから


■2023年2月1日

ニュートラムでフェリーターミナル駅へ。

大阪築港17時発。

新門司港へは翌朝5時30分に到着

2月2日、欅坂橋梁等を見て回った後

西小倉駅で乗り換え、折尾駅へ。

駅前にねじりまんぼがある。

  折尾三連橋

駅を背に左のアーチはねじりまんぼ(斜橋)

中央、右の2アーチは直橋

不思議な3連橋である






■撮影と採寸を済ませ1駅隣の陣原(じんのはる)駅まで電車で。

皇后崎橋梁は「ねじりまんぼ」だが、

事前の資料によると川を渡って行くとあった。

ネットで潮の高さ予想を調べていた。午前9時ごろが最低

今は、実際どれくらいの水位か見ておきたかった。

ここから歩いて1.2km。ビジネスホテルに投宿

今日の資料をまとめていた

そして、えらいことが・・・・・・

カメラの画像データを「削除」してしまった

データ容量が一杯になったので不要な写真を消すつもりでいたのが、

すべて削除

信じられない!!


■2月の初め九州のレンガアーチを探訪したが、

撮影した画像データを消去してしまった。

畜生!

今回は無くした箇所を再撮影するぞ。

15日から3泊4日で再訪した。

■鹿児島本線 折尾駅前にある

   折尾3連橋(旧折尾高架橋)

折尾駅は2021年に新築されたばかりであり、

駅前は再開発の工事中である。

電車を降りるとホームからレンガ造りの3連橋が見える。



また、ホームにねじりまんぼの説明板が掲示してある。

3連橋の一番端のアーチが斜橋でねじりまんぼで施工され、

中央ともう一方のアーチは直橋である。

工事中なのかどうか知らないが

ねじりまんぼに隣接する2橋は資材置き場か廃材置き場となり、

かなりげんなりする。残念至極である。




■3連橋に近づき撮影。

写真左がねじりまんぼ。手前の2アーチは直橋。



この3連橋の上を電車が通っていた(西鉄北九州線)

この3連橋の右端から鉄橋が渡っていてその下を鉄道が走っていた(福北ゆたか線)

写真の右手に区画柵がある。

線路があったことを示す注意看板が立っている。



ねじりまんぼを抜けて直橋側を見る。

鉄橋がかかっていたのでアーチ橋であり鉄橋の橋台でもある。

左側のL形に鉄橋の支承が載っていた。

ただ、ひどい亀裂が坑門に見える。

他にない構造物であるのに残念な光景である。




■3連橋を採寸する。

正径間長、斜径間長はレーザー測距器で。菱角、槍角をデジタル分度器で測る。

正径間長 6118mm、斜径間長 6395mm、斜架角θ=約73° 起拱角β=約11°



正径間長、斜径間長より展開図を書く



斜架角θと 起拱角βとの関係式。



レンガの傾き(起拱角)を見る。





■レンガの傾斜角を測る。

cadで画像を取り込み、 cadの角度計測を用いる。

得たデータ6回の平均値は14°57'35" となり約15° である。

写真は曲面を斜め下から撮影している。

実際は縦軸方向の長さは

縦距は写真計測した時、 短めの値と考えると角度は

投影されると短く写るはずである。

これより大きいはずである。

おそらく、 起拱角 β は 15°+α

故に理論式で得た β ≒ 11° とは多少相違する

ただし、 流布している文献を見るとθ=75°としているが

これを理論式に当てはめればβ=9°41' となり写真計測値と 大きく相違している。








■3DーCADの「スケッチアップ」を使って作図

ネットに載っている昔の写真を参考に作図

ねじりまんぼのある3連橋に鉄橋がかかり次の6連橋に結ばれる

その3連橋の上が西鉄の終点、折尾駅。

3連橋+鉄橋+6連橋

そして、駅が付いてくるとは

ここに来るまで全く知らなかった

写真を見てのイメージ図である。間違いもあるだろう・・・




■以上、たけちゃんのブログ

  Day by day(外部リンク)九州のレンガアーチ探訪旧折尾高架橋−1−2−3−4

から引用しました。(一部編集しています) 

諸元の整理

データシート

■ここからは、たけちゃんの観測データを元に諸元を整理していきます。

「斜架角 θ」については、「坑門角 α」の実測値値としました。

実測諸元を下記のとおりとしました。

図−β実測値と理論値の比較
(クリックで拡大図)  
正径間  W= 6.12m
斜径間  a= 6.40m

巾員  L= 13.42m

斜架角  θ= 73度 (実測坑門角α)

起拱角  β= 15°(6カ所測定平均)

11°(理論値)



■旧折尾高架橋の特徴をまとめました。

1.国内に現存する中では正径間W=6.12mは最も大きい。

2.斜径間が6.40mと現存する中では二番目の長さ。(実測で欅坂橋梁と同じ)

3.端面部にのみ迫受石がある。

4.β(起拱角)はθ(斜架角)から求める理論値より少し大きい。ちなみに文献2)のθ=75°を採用すると、β=9.7°となり実測値と大きく違う。

5.三連橋の一橋のみが「ねじりまんぽ」という例のない構造。

6.断面は欠円であり、例は少ない。

以上の調査データをまとめ、未計測項目がありますが、

データシートとしてPDFにしました。

⇒⇒No30-旧折尾高架橋 調査データ(PDF)
    (新しいウインドウが開きます)

    

■なお上記「調査ーデータ」を作成するにあたっては、下記の考えに従いました。

●ねじりまんぽの番号
 /「鉄道と煉瓦」表4-1”一覧表”(P117)における番号から不掲載分を追加。

●方向
 /東西南北の表示は主たる方向とした。

●経度緯度
 / Googleマップ より求めた。

●煉瓦形状(今回データ無し)
 /手作り煉瓦であるので寸法にバラツキがある。故に代表値。

●積み方/イギリス積み、オランダ積みの区分
 /コーナーの仕上げ形状により、イギリス積みとオランダ積みが区分されるので、
 /文献「鉄道と煉瓦」にならい、一般的に”イギリス積み”と表記。
 /ただし、コーナー部が”オランダ積み”と確認できたもののみ”オランダ積み”と表記。

●θβの左右区分
 /「鉄道と煉瓦」にならい、側壁に向かってアーチの煉瓦が右上がりの場合「右」 、左上がりの場合「左」 と表記。

●中心キロ程
 /折尾駅の距離とした。


位置図




周辺状況図
今昔マップon the Web(1967〜72)


拡大図



INFORMATION

1.「ねじりまんぽ」とは
2.「ねじりまんぽ」を見に行こう
3.「ねじりまんぽ」の構造
4.「ねじりまんぽ」建設再現
5.番外偏
6.マスコミで紹介されました
7.「ねじりまんぽ」一覧表
8.参考文献/参考外部リンク

参考文献

1) 斜架拱(しゃかきょう)/伊藤鏗太郎(イトウ コウタロウ)編訳/1899年(明治32年)

 我が国で初めて斜架拱”ねじりまんぽ”を単独で取り上げた書物と思われます。
 この論文はダウンロード(外部リンク/新しいページが開きます)可能です。

■たけちゃんが現代語訳しました。
あくまで原書を読みやすくするという意図をもって作成したものです。
たけちゃんのブログ「Day by day」からダウンロードすることが出来ます。
「Day by day/「斜架拱」現代語訳」(外部リンク)

2) 鉄道と煉瓦−その歴史とデザイン

/著者;小野田 滋(おのだしげる)/鹿島出版会/2004発行

 煉瓦の歴史や組積方法鉄道構造物としてのデザイン等について記されています。
 全国45都道府県を調査した”足で書かれた論文”で、現在も購入可能です。


3) 阪神間 ・京阪間鉄道における煉瓦 ・石積み構造物とその特徴

/著者;小野田 滋/土木史研究 第20号/2000.5

 京阪神間の煉瓦 ・石積み構造物の特徴を捉え、現地調査結果をまとめています。(PDF/外部リンク

4) 組積造による斜めアーチ構造物の分布とその技法に関する研究
/著者;小野田 滋、河村清治、須貝清行、神野嘉希/土木史研究 第16号/1996.6

 「ねじりまんぽ」の分布や技法についてまとめた論文です。(PDF/外部リンク

5) 関西地方の鉄道における「斜架拱」の分布とその技法に関する研究」

/JR西日本 河村清治、小野田滋、木村哲夫、菊池保孝/土木史研究 第10号/1990.6

 JR西日本管内の「ねじりまんぽ」を本格的に調査し、まとめています。(PDF/外部リンク


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