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KITAHATA URBAN DESIGN CORPORATION

皇后崎(こうがさき)橋梁

撮影/令和5年2月3日(金)/たけちゃん撮影

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ねじりマンポ もくじ
1.「ねじりまんぽ」とは
2.「ねじりまんぽ」を見に行こう
3.「ねじりまんぽ」の構造
4.「ねじりまんぽ」建設再現
5.番外偏
6.マスコミで紹介されました
7.「ねじりまんぽ」一覧表
参考文献、リンク
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幻の「ねじりまんぽ」

■文献「鉄道と煉瓦」に記載がなく、ネット上では話題になっていた幻の「ねじりまんぽ」

    皇后崎橋梁

2023年2月3日に”たけちゃん”が調査に行ったので

以下、彼のブログ

  Day by day(外部リンク)皇后崎橋梁

から引用します。(一部編集しています) 


”たけちゃん”ブログから


■黒崎駅に近いビジネスホテルに投宿し1.2km歩く。

九州電気鉄道の遺産で1914(大正3)年建設という。

周囲がかなり変化しているので当時の様子がまったくわからない。

今は水路にかかるレンガ橋としか思えない。

■まず上から臨み、水路に入り撮影と採寸。

坑門、反対側の坑門、天井部分を観察。





■採寸したものを作図

  正径間長 2276mm

  斜径間長 2589mm

  長さ   5460mm

  斜架角  61°32’

写真から起拱角測定。

平均で約21°

アーチの展開図を作成。

起拱角は19°07’となった。

これを理論値とすると施工が21°なら上々の出来ではなかろうか。



■以上、たけちゃんのブログ

  Day by day(外部リンク)皇后崎橋梁

から引用しました。(一部編集しています) 

諸元の整理

データシート

■ここからは、たけちゃんの観測データを元に諸元を整理していきます。

「斜架角 θ」については、

「正径間 W」と「斜径間 a」の実測値から計算される値とし、

実測諸元を下記のとおりとしました。

図−β実測値と理論値の比較(クリックで拡大図)  
  
正径間  W= 2.28m (2.276)

斜径間  a= 2.59m (2.589)

巾員   L= 5.46m (5.460)

斜架角  θ= 62度 (坑門角αを採用)

起拱角  β= 21.2度 (3カ所測定平均)

19.0度 (理論値)



■たけちゃんの感じたとおり、

概ね理論どおりの計画、施工だったと思われます。

以上の調査データをまとめ、未計測項目がありますが、

データシートとしてPDFにしました。

⇒⇒No34 皇后崎橋梁 調査データ(PDF)
    (新しいウインドウが開きます)

    

■なお上記「調査ーデータ」を作成するにあたっては、下記の考えに従いました。

●ねじりまんぽの番号
 /「鉄道と煉瓦」表4-1”一覧表”(P117)における番号から不掲載分を追加。

●方向
 /東西南北の表示は主たる方向とした。

●経度緯度
 / Googleマップ より求めた。

●煉瓦形状(今回データ無し)
 /手作り煉瓦であるので寸法にバラツキがある。故に代表値。

●積み方/イギリス積み、オランダ積みの区分
 /コーナーの仕上げ形状により、イギリス積みとオランダ積みが区分されるので、
 /文献「鉄道と煉瓦」にならい、一般的に”イギリス積み”と表記。
 /ただし、コーナー部が”オランダ積み”と確認できたもののみ”オランダ積み”と表記。

●θβの左右区分
 /「鉄道と煉瓦」にならい、側壁に向かってアーチの煉瓦が右上がりの場合「右」 、左上がりの場合「左」 と表記。

●中心キロ程(今回データ無し)
 /現行距離程による。(開業時とは異なる)


■下記に位置図を示します。

少々違和感を感じたのが、近くにある

  西日本鉄道北九州線跡

という遺構の位置。

線路がここにあったとすると、鉄道のための「ねじりまんぽ」なら

「ねじりまんぽ」の向きと線路の向きが一致しません。


位置図



■調べてみると、皇后崎停留場はこの遺構と

皇后崎橋梁との間にあったようです。

停留場は1914年(大正3年)6月25日、 九州電気軌道の停留場として開業。

黒崎駅と折尾駅の間に位置しました。

水路の方向と旧線路の方向は平行で、

今の鹿児島本線同様、東西に走っています。

皇后崎橋梁は水路をまたいでいますので

線路及び水路と交差する道路のような構造物が

水路を横断するために作られたものと思われます。


■そこで古い地図を見ることができるアプリ

   今昔マップ

を使って大正時代の地理院の地図を見ると・・・・。

予想どおり、有りました。

皇后崎停留場のすぐ西側を南北方向に

鉄道を斜めに横切る道路が走っています。

おそらく、この道路が”水路を横断するため”に造られたのが

   皇后崎橋梁

ではないでしょうか。

とすると、このねじりまんぽの竣工年も、もう少し違ってくるかもしれません。




国土地理院/陣原駅(西側)−皇后崎駅(中央)−黒崎駅(東側)付近地図
地図をクリックすると拡大画像を見ることができます。


皇后崎駅付近拡大図



INFORMATION

1.「ねじりまんぽ」とは
2.「ねじりまんぽ」を見に行こう
3.「ねじりまんぽ」の構造
4.「ねじりまんぽ」建設再現
5.番外偏
6.マスコミで紹介されました
7.「ねじりまんぽ」一覧表
8.参考文献/参考外部リンク

参考文献

1) 斜架拱(しゃかきょう)/伊藤鏗太郎(イトウ コウタロウ)編訳/1899年(明治32年)

 我が国で初めて斜架拱”ねじりまんぽ”を単独で取り上げた書物と思われます。
 この論文はダウンロード(外部リンク/新しいページが開きます)可能です。

■たけちゃんが現代語訳しました。
あくまで原書を読みやすくするという意図をもって作成したものです。
たけちゃんのブログ「Day by day」からダウンロードすることが出来ます。
「Day by day/「斜架拱」現代語訳」(外部リンク)

2) 鉄道と煉瓦−その歴史とデザイン

/著者;小野田 滋(おのだしげる)/鹿島出版会/2004発行

 煉瓦の歴史や組積方法鉄道構造物としてのデザイン等について記されています。
 全国45都道府県を調査した”足で書かれた論文”で、現在も購入可能です。


3) 阪神間 ・京阪間鉄道における煉瓦 ・石積み構造物とその特徴

/著者;小野田 滋/土木史研究 第20号/2000.5

 京阪神間の煉瓦 ・石積み構造物の特徴を捉え、現地調査結果をまとめています。(PDF/外部リンク

4) 組積造による斜めアーチ構造物の分布とその技法に関する研究
/著者;小野田 滋、河村清治、須貝清行、神野嘉希/土木史研究 第16号/1996.6

 「ねじりまんぽ」の分布や技法についてまとめた論文です。(PDF/外部リンク

5) 関西地方の鉄道における「斜架拱」の分布とその技法に関する研究」

/JR西日本 河村清治、小野田滋、木村哲夫、菊池保孝/土木史研究 第10号/1990.6

 JR西日本管内の「ねじりまんぽ」を本格的に調査し、まとめています。(PDF/外部リンク


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